大震災から学んだ、動物との共生のありかた

下薗:最後に、今回の災害から、動物との共生に対してのアドバイスなどありましたら、お聞かせください。

1

平井:飼い主さんにお伝えするとしたら、各家庭、住居によって、防災の準備の仕方は違ってきますよね。だから各家庭ごとにオリジナルのマニュアルを作って、防災対策や家族同士の連絡の取り方など、一度考えていただけたらと思います。
それに加えて、人と動物が普段から上手く共生できているかが、災害時にはいっそう顕著に問題になると思うんですね。災害時に特化した対応ではなく、普段から周囲の理解を得られる飼い方、動物との付き合い方を、自らも啓蒙していくことが大切ではないでしょうか。

下薗:ありがとうございます。成田ご住職には、ご住職の立場で犬猫を飼育されている方へのメッセージをいただけますか。

成田:そうですね、私の立場ではやはり亡くなってからのことがメインです。ほとんどの場合、飼い主さんよりも動物たちの方が先に逝きますから、この子の命が終わったらどうするかというのは、一応考えておいてもらった方がいいかなと思います。やはり家族や仲間を供養することによって、心を落ち着かせることができますので。

下薗:そうですよね。ご住職のような立場から、犬猫を飼育されている方々に、ペットロス等に陥らないための支援などはあるんですか。

成田:よく、亡くなった子が嫉妬するんじゃないかと思って、新しい家族を迎えられないということを聞くのですが、私は「四十九日経ったら生まれ変わりをするから、次の子を探しなさい」と提案しています。次の子を迎えて、一緒に供養していくというのも、ペットロスにはいいんじゃないですかね。

1

下薗:ありがとうございます。山口先生も最後にメッセージをいただければと思います。

山口:ペットは大切な家族ですので、一緒に避難するということを遠慮しないでいただきたいと思うんですね。東京都自体は、同行避難とはっきり謳っております。東日本大震災でも、都の作った被災者の避難所4つ全てに、動物専用の場所が併設されていました。
動物も人も不安になる災害時に、人と動物の絆がしっかりと結ばれた状態であれば、互いに心強く乗り越えていくことができると思うんですね。

下薗:そうですね。それを啓蒙をしくためには普段の社会性という課題がありますね。

山口:そうです。動物の飼い主さんは、動物が嫌いな人もいるということに配慮をしながら、動物と共に暮らすことも必要だと思います。

下薗:そうですね。私どもの学生が巣立っていく先の動物病院やペットショップで、大いに飼い主さんにそれをお伝えしていきたいですね。やっぱり日々の心構えと、ドッグトレーナーを含めた躾の大事さというのを考えていきたいなと思います。

最後に

最後に
昨年の東日本大震災によって齎された甚大な被害から、日本は少しずつ立ち直り始めています。そんな中さまざまなかたちで、被災ペットの救援と被災者の心のケアを行われているお三方のお話に、災害時だけでなく常日頃から、ペットと地域との共生の正しいあり方を考えることが必要だと気づかされました。
IAC