第6回

犬のしつけと幸せ
下薗 恵子 × 西川 文二(Can ! Do ! Pet dog School代表)
2008年9月1日

犬のしつけ教室のCan ! Do ! Pet dog School代表の西川文二先生は犬のしつけに関して多くのメディアなどにも登場する第一人者です。 今回は西川先生にご自身のしつけインストラクターへの道から「訓練」と「しつけ」との違いまでさまざまなお話をお伺いしました。

対談者プロフィール
小林 節西川 文二(にしかわ・ぶんじ)
1957 年生まれ、東京都出身。幼い頃より、数十匹の犬に囲まれ育つ。
1981年早稲田大学理工学部を卒業して、(株)博報堂入社。コピーライターとして10年間勤める。
1991年、ペット関係の家業(百貨店におけるテナント)を手伝うため(株)博報堂退社。犬のしつけ、行動学、行動心理、学習心理等を学びはじめ、家庭犬しつけインストラクターの資格を取得。1999年、小田急百貨店でしつけ教室を開講すると同時にCan!Do!を設立。(財)日本盲導犬協会パピーウォーカーのためのしつけ教室の元ボランティアスタッフ。千葉にある専門学校のしつけ実習の講師もつとめる。

子供のころから家の中の犬舎に動物がうじゃうじゃいました

西川 文二

下薗:本日はありがとうございます。犬のしつけの第一人者である先生にはいろいろお聞きしたいことがあるのですが…。

西川:はい、なんでも聞いてください(笑)

下薗:まずは、先生が動物と関わる仕事につかれたきっかけはどんなことなんでしょう。

西川:うちの両親が犬関係の仕事をしていて・・・両親は犬好きで最初は趣味でブリーダーをしてたんですけど、趣味が高じてショップを持つようになった。子供のころから家の中の犬舎に動物がうじゃうじゃいましてね。私自身はその親の仕事を引き継ぐ気はあまりなく、普通に広告会社の博報堂に就職して10年間働いていました。

下薗:広告会社ではどんなお仕事をされていたんですか?

西川:コピーライターですね。その後、父親がなくなり、母親が一人でそのショップをやっていたんですよ。で、それを手伝うかってことで会社をやめてショップをやり始めた。91年頃ですか。その頃、ちょうど大きく犬の飼い方が変わっていった時代になって。 それまで大型犬っていうとですね、シェパードとかドーベルマンとかボクサーとか、基本的にはある程度お金があって、どっちかっていうと必ず訓練所に預けて帰ってくるというような飼い方だったんだけど、ハスキーブームのときは漫画が火付け役で、訓練犬ではなく今でいう家庭犬という存在として登場していた。

下薗:犬も家の中で生活するようになったのですね。

西川:そう、ハスキーの場合はまだ庭で飼ってた人が多かったんですが、90年代にブームになったゴールデンの場合は完全に家の中じゃないですか。もう完全に欧米スタイル。ところが飼い主さんがその飼い方を知らないから問題が起きる。実際社会問題にもなりました。で、それこそ問題が起きた頃と同時に、日本では海外の犬トレーニングとか、世話の仕方などの翻訳本が数多く出版されたんですよ。

下薗:そうだったんですか。

西川:それらを読んでるとどうも日本の飼い方と違うんですね。私の両親が「犬ってこうやって育てるんだ、こうやれ」って言ったやり方とどうも違う。 それはもう時代の流れなんですね。それに私は飛びついてですね、動物行動学とかストリートウォーキングなんかを勉強し始めた。 本来は親の仕事を引き継ぐかたちでこの業界にはいったんですけども、そのなかで新しい学問を勉強するうちに、しつけの重要性をすごく感じてきて。日本にないわけですから、ないものがあると面白いじゃないですか。 だから興味を持ってやっているうちにいつの間にか「しつけのインストラクター」になっていました。

下薗:社会の必要性に応じて動いていかれたというわけですね。



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