第7回

犬のしつけと幸せ
下薗 恵子 ×松本壯志(TSUBASA代表 / 株式会社ロムテック代表取締役)
2008年12月1日

鳥の飼育に関する啓蒙をおこなっているボランティア団体TSUBASAの代表である松本先生は、半導体関連の会社を経営する傍ら、鳥に並々ならぬ愛情を注いできました。今回は鳥と犬のペットとしての特性の違いなど、興味深いお話をたっぷりと聞かせていただきました。

対談者プロフィール
小林 節松本 壯志(まつもと・そうし)
「青春の門」の福岡県筑豊で生まれる。
20歳ときに移動動物園で全国を行脚。その後民間のこども動物園で飼育係を経て動物プロダクション勤務。
しばらく動物関係から離れ、半導体関連の(株)ロムテックを設立(現代表取締役)
1996年池袋にペットショップCAP!をオープン。
2000年鳥類の適正飼養に関する啓蒙活動をおこなうボランティア団体TSUBASA設立。
>>TSUBASA
>>株式会社ロムテック

鳥を飼うということ

松本 壯志

下薗:今日はよろしくお願いいたします。唐突ですが、私は酉年なんですよ。

松本:へえ、そうなんですか。

下薗:ええ、酉年だからというわけではないんですけれど、鳥がとっても好きで。ただ、家にはワンちゃんがいるので、一緒に飼うことは避けているんですけれど。いずれは日本野鳥の会に入りたいほどなんです。現在、鳥の飼育数というのは全国でどのくらいなんですか?

松本:具体的な数はわからないですけれども、以前に比べて減っています。ただ、鳥の飼い方は2種類ありまして。まず鑑賞目的、それからいわゆるコンパニオン・バード、家族の一員として飼うという目的ですね。今は観賞用の鳥達が減っていまして、コンパニオン・バードの割合が増えています。

下薗:このあいだ学校でお話しいただいたときに、鳥にもドッグランのようにバードランがあったり、お洋服を着せたりと、子どものような扱いをされる方が多いとうかがって。ああ、ほんとに犬と同じような感覚で飼っていらっしゃるんだなあって、思いました。

松本:ええ、かなり思い入れが強くて、犬以上に擬人化されている方もすごく多いです。

下薗:言葉をしゃべる鳥たちもいますものね。

松本:だからよけいに擬人化しやすいのかもしれないですね。言葉を理解して、シチュエーションに応じてしゃべってくれる場合もあるから、相手が人に近いような感覚になるんじゃないでしょうか。

下薗:それによる弊害はいかがなのですか?

松本:あまり擬人化するのはよくないと思います。あくまでも鳥は鳥ですし、また犬と違って飼育の歴史がすごく浅いですから、ほとんど野生に近いんです。だから第二次反抗期(発情期)に、色んな問題が生じてくるんですね。具体的には、飼い主さんを発情の相手、パートナーだと思ってしまう。

下薗:鳥の本能で、それは相手を選んでるんですか?

松本 壯志

松本:しかし逆に飼い主さんが悩むのはそこなんです。鳥はみんなに”なつく”ことをしませんから。鳥の場合、犬と違って力関係じゃなくて、あきらかに好き嫌いで順位が決まっちゃう。なのに飼い主さんは、どうしても自分は好かれなくちゃいけない、でないと自分の立場が弱くなる、そう思ってしまう。

下薗:鳥主体の生活になってしまうわけですか。TSUBASAのホームページに、「鳥の飼い主への十戒」が載っていますよね。その中で、鳥に対して攻撃する飼い主さんがいるということも書かれていますが。

松本:実は以前犬を飼ってた方に多いんです。犬は服従させなくちゃいけないという意識があるせいか、鳥も同じように扱おうとするんですね。でも鳥の場合、完全に逆効果なんです。もうその人に対して恐怖心を持ったり、逆に攻撃的になってしまう。

下薗:心がつぶされちゃうんですね。

松本:そうですね。だから、鳥は肩が大好きなんです。なぜかというと、目線が同じところにくるから。対等目線で安心する動物なんです。上に持ちあげてもだめだし、下に扱ってもだめだし、対等で接するのが一番大切ですね。

下薗:奥が深いし、すごく楽しいですねえ。

松本:はい。結構難しいですが、たしかに楽しいですね。

  3 4 次のページへ→
IAC