農業と福祉、ホースセラピーの連携

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下薗:農業と福祉、ホースセラピーが繋がっていくことの意義は何でしょうか。

川嶋:農業というのは、効率化するのが非常に難しく、手間暇がかかります。これを突き詰めていくと多様な作業に色々な能力をもつ人間が関わりやすいことがわかります。そこのマッチングをうまくすれば彼らも働けるようになる可能性があり、農業と福祉を連携させることができます。
 ホースセラピーの目的である社会で自立するためや、就労するために必要なスキルを学ぶ機会も作ることができます。この活動をしていくなかで、自立するための就労先として農業に進む場合もあります。そういう意味では農業と福祉は相性が良いと考えています。あくまでも、ホースセラピーでは社会に関わるキッカケを作っていると考えています。

下薗:なるほど、高齢者の方々のやりがい、生きがいに繋げていけそうですね。

川嶋:そうですね、繋げていけます。結局、生産したものが売れるから自立に繋げられるのであって、売れなければこのモデルを続けられません。一次産業では畜産、漁業、林業とも何とか農福連携に取り組めるので、生きるのに課題を持つ方たちが働くキッカケも作れると思います。

下薗:自立させるということは進んでいそうですが、反対に、セラピーを支える側の支援はいかがですか。

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川嶋:今までにホースセラピーに関わるボランティアの多くは無給だったのですが、福祉サービスを使いながらスタッフに手当を出してホースセラピーをしているところがあります。障がいを持つお子様方の支援事業所として福祉サービスを提供し、所定の費用を負担するプログラムにご理解をいただいて利用されている方がいらっしゃいます。そのような事業所といくつか関わりを持っています。

下薗:学校に通う障がいを持つ方ということでしょうか。

川嶋:はい、障がいを持ち、受給者証をお持ちの18歳までの方です。このモデルでは、事務所の職員は給与を得ることができます。

下薗:スタッフの方々を総称して何と呼ぶのでしょうか。

川嶋:指導員と呼びますが、特にウマとの活動をする際にはインストラクターという場合もあります。理学療法士や作業療法士が関わる場合にはセラピストとも呼ぶことがあります。
もう一つは、ウマのこともわかる方が理学療法士、作業療法士となり、ホースセラピーの指導もするモデルが徐々に出来つつあるかと思います。

下薗:素晴らしいお仕事、役割ですから、生活に繋げないといけませんね。

川嶋:その通りです。今まで、繋がっていませんでしたから。

IAC