たいせつなペットを失ったときに

松本壯志

山口:アメリカではチーム医療が盛んですね、人間も動物も。特にコロラド大のがん治療センターを訪問したときは毎週ミーティングをして、動物看護師さんも獣医さんも、みんな一緒になって話し合うと説明されました。そこに今度は患者さんも一緒に話し合う場を設けたり。がん末期の動物も多いので、ペットロスに対応する心理の専門家もいるんですよね。

下薗:最近はペットロスになる可能性のある方が多いですしね。

山口:ペットが亡くなれば悲しいのは当たり前ですが、私が思うに、その尾を引く原因というのが、案外獣医さんの何げない一言だったりするんですよね。

下薗:専門家であるがゆえに、仕事として応じていて当然の内容であっても、飼い主さんにとって心に傷を受けてしまうことがあるのでしょうね。

山口:それはあると思うんですよね。他には、病院の選択ミスで治療が遅れたなどと思い込んでしまうと、それをずっと引きずってしまう。

下薗:自分が悪かったという後悔なんですよね。

松本壯志山口:ただ、ペットロスを時々マスコミで、病気のように取り上げられるのがちょっとまずいかなって。悲しいのは当たり前ですから。ただ精神的なショックが大きいと、悪い思考に向かいがちになってしまうんですね。悲しんでいるときに、周りの人に「そんな、犬猫ぐらいで」とか「また新しい子を飼ったら大丈夫よ」とか言われるのも辛い。

下薗:「虹の橋」というお話があって、それが私の心の支えなんです。天国へと続く道の途中にある虹の橋の袂で、亡くなった子供達(動物)が待っているというものなのですが。いずれ再会ができた時に「頑張って生きてきたよ。」と伝えたいから、やっぱり待っていてくれる動物たちに誇れる生きかたをしないとと思ってます。

山口:実家にいた頃はずっと動物に囲まれていたんですが、父がそれほど動物好きではなくて、ペットとの関わりも少なかった。それなのにある日、父になつく猫が来たんですよ。そうしたらもう、コロッと変わっちゃって。その子の何もかもが可愛くてたまらないという感じでしたね。

下薗:そうなんですよねえ。やっぱり大きいですよ、動物の力って、本当にねえ。

松本壯志下薗:それでは最後に若者たちに、何かエールを送っていただけるとうれしいなと思うのですけれども。

山口:私は、あきらめないでって言いたいですね。1回チャレンジして、失敗しても、それで駄目かと諦めてしまわないでほしい。諦めないっていうことはそれに向かって努力をするということだから、いったん別の職業に就いていたとしても、希望を持ち続けていれば実現可能。思い続けなければ実現もしない。若い間はその思いを持ち続けていれば、きっと実現すると思います。

下薗:そうですね。大事な言葉をいただきました。本日はありがとうございました。

最後に

最後に

動物がひとと共に暮らしてゆくために、本当に必要なこと。今回は山口先生にたくさんの大切なことを教わりました


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