科学する心と表現する力

下薗:小林先生は理系ですが、理系というとどうしても女性は苦手…というイメージがありますね。

小林:そうですね、でも現実はちょっと違います。たとえば私が若いころに赴任した学校で、試しに物理の実験を男女分けておこなったところ、女子生徒が大変生き生きと実験をしましてね。以前男女一緒に実験をしていたころにはどうしても男子生徒がイニシアチブをとっていたので、女子生徒があまり前にでるようなことはなかったのですが…。

下薗惠子下薗:なるほど、大変興味深いですね。

小林:私たちのスローガンにも、「科学する心と表現する力」というのがございますが、大妻嵐山中学校を立ち上げたとき、生徒が理数系を嫌いにならないように楽しませようということで、もともと豊かな自然に囲まれた学校ですので、先生も、生徒も一緒になって国蝶のオオムラサキを育てています。

下薗:蝶を怖がる人はいませんか?青虫からでしょう?

小林:大勢いますよ。「私、虫だけはちょっと」ってね。

下薗:ああ、そうなんですか。

小林:でも、だんだん大きくなると…夢中になっちゃうんです。

下薗:可愛くなっちゃうんですね。

サナギ
オオムラサキの幼虫

小林:そう、じゃあ他の動物でもできないかということで、乗馬なんかどうだろう?という話になって、生まれて初めて私も馬に乗りました。てっきり、指導者の方が引いてくれるのかと思いきや、「いやいや、お一人でちゃんと。乗った後は自分です」っていう。えーっと思ったけど、本当に30分ぐらい乗ってるうちにいうことを聞いてくれるんですね。本当に可愛いというか、…何か愛おしいというか。それ以来毎年、中学生には、冬休みに入ったらすぐ希望者集めて、乗馬を体験させています。

下薗:それは生徒さんたちも喜ぶでしょうね。

小林:そうですね。だから、理科とか数学という枠に当てはめてしまっては身も蓋もないんですけど、基本的なことを面白がらせてやらせるっていうのは、どの分野に行ってもね、使えるのではないかと思いますよ。

下薗:私どもは専門学校という立場ですから、職業を求めての教育ですけれども、生徒には、受身ではなく、できるだけ自発的に課題に取り組んでいく教育過程にしたいと思っています。

小林:そう、ものごとに自発的に取り組むと興味が広がりますので。うちの学校なんか進路はもう、とんでもなく広いですね。宇宙飛行士まで目指している生徒がいますから(笑)。

下薗:なんと(笑)、すごいことですね。

小林:まあ飛び立つばかりじゃなくて、宇宙科学とか、それから生命科学的なものへの興味はとっても広がりましたね。下薗さんが取り組んでおられる動物との関わりも将来的には随分、方法が変わってくるんじゃないでしょうかと私は思っています。

下薗:そうですね、そのきっかけとして、まずは大勢の若者に動物に興味をもって欲しいです。

小林:そうですね、生命として人間と動物の共存共生が一番大切ですからね。

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