子どもと動物の共生の効果

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下薗:情緒面を育てる大事な小学校の時期に、犬という存在があることにより御校の子どもたちは変わってきましたか。
犬がいる時期といなかった時期とちがいはありますか。

吉田:皆さんもご存知だと思いますけど、犬がいるとコミュニケーションがより自然に豊かになるので、子どもたちだけではなく、僕のまわりも和やかになりましたね。

下薗:教員室の方々が協力して下さることも大きな快挙だと思います。いろいろな配慮を考えられたと思いますが、壁はなかったのですか。

吉田:導入にあたっては大きく立ちはだかる壁はなかったですね。話せば、皆さんわかってくれるだろうなというのがあったので。

下薗:まずは、教師がわかってくださるという前に、保護者の方々がわかってくださるのかなというのが、結構大きな課題であったように思いますが、いかがでしたか。

吉田:そうですね。1つ注意したのは、子どもに「何で犬がいるの?」と聞かれたら、「楽しいからだよ。」というシンプルな応答にしているのですが、保護者には、「楽しいから連れてきます。」ではなくて、その意味と期待される効果を丁寧にご説明する、ということに気をつけました。そうするとやはり皆さん、すんなり理解してくださいました。

下薗:やはり、保護者の方々も、お子さんへの教育効果を期待されるでしょうし、それをわかってくださる保護者の方々が多くいらっしゃるのですね。
小学生のお子さまがいる場所での事故を未然に防ぐ対応も必要ですよね。

吉田:教員の監視下において、動物の行動パターンを理解して、そして、子どもにふれさせる時も、人間が一方的にワーっと近づくのではなく、時間を区切るなど工夫します。 犬がイライラしているなってわかるとか、その辺のところを注意しておけば、事故が防げるかと考えます。

下薗:小学生たちに対して、犬たちはどんな様子ですか。

吉田:子どもにも、やっぱり犬の賢さを見せますね。6年生くらいだと、接し方が上手な子と、頼りなく不安げな子がいて、不安な子にはわざと犬がその子を困らせたりしますね。

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下薗:賢いですね。

吉田:それがだんだん1年間くらいバディウォーカー(犬のお世話係)の活動をしていると、ラストの3学期というのは、子どもたちみんな自信を持ってお散歩に行っているので、犬もちゃんと従い、自由に外でリードをつけて遊んだりできるようになり、子どもたちの成長も感じます。

下薗:バディウォーカーは、何年生くらいから始まるのですか。

吉田:6年生の1年間です。

下薗:6年生は、全員必須ですか。

吉田:希望者だけです。新学期が始まる4月に募集をして、メンバーになりたいっていう子たちで、ハンドリングの練習をして、当番制で行います。1学年は36名の2クラスですから72名で、昨年は50名が参加。今年も昨日、参加申込書の提出があったのですが、52名でしたので、学年のほとんどですね。

下薗:犬たちのお世話はいつ行うのですか。

吉田:休み時間を使いますよ。

下薗:自分の休み時間を使うのですね。子どもながらにたいしたものですね。
初代バディウォーカーの方たちは、いまはもう社会人になられているのですよね。

吉田:そうですね。バディウォーカーを経験した卒業生が2名、当校に新任の教師として来ているのですよ。

下薗:素敵なことですね。その方たちは、どんな感想を述べられていますか。

吉田:その時の思い出とか、一緒に老人ホームに遊びに行って活動したこととか、そういうことが教師になりたいというキッカケの1つになっているみたいですね。

下薗:皆さんの将来が楽しみですね。

IAC