学校法人シモゾノ学園の理事長兼校長。動物が生きる喜びをかみしめることができる社会、人と動物が本当の意味で共存共栄できる社会を目指す愛犬家。
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第23回川嶋 舟氏
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第22回吉田 太郎氏
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第21回動物看護業界座談会
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動物と、自然との共存
下薗:先生が今、特に手がけてらっしゃるのはどんなことなんですか?
松本:そうですね、自分は二十歳のときに、移動動物園に入ったんです。動物園なんてなかなか勤められなかったんで、嬉しかったですね。渋谷の東急デパートの屋上に、日本で初めて放し飼いをする動物園があって、そこに勤務していました。山羊、羊、アヒル、ガチョウなんかが園内に放されていて。
その後、動物プロダクションに飼育責任者で入りました。でも結局はどこも似たようなもので、憧れて入ったはずの動物業界にすごくショックを感じたんです。それで動物業界を辞めることになったんですけども、いつかはこの業界を変えたい、という思いは心の中にありました。
その後日立に入って、独立し、幸いにもまた動物の仕事に戻れるチャンスを貰ったんですね。そのとき最初に自分が始めたのは、犬猫のブリーダーだったんですよ。
下薗:そうなんですか。
松本:ええ、まずは長野県のブリーディング場と、池袋に生体販売の店「CAP!」を作りました。そこでは自家繁殖の犬猫しか扱っていなかった。お客さんにも消毒してからでないと触らせない。大きなケージで親兄弟皆一緒に生活させて、親の詳細も明記してました。それでワクチンが終わるまでは絶対に売らない。当時はそういうお店はなかったですね。ワクチンの時期まで置いておくと、一番可愛い時期を逃しちゃいますから。
で、そういう売り方をしていたせいで、お客さんがどんどんうちから離れていった。それでも何人かうちでペットを買っていってくれたお客さんはいて、ただペットフードや健康管理について教えても、言うことを聞いてくれないんですね。
そのうち、店に閑古鳥が鳴くようになってきて、自分の考えが外れたかなと。あと半年で店を閉めるからと自分の鳥を店で放し飼いして遊んでたら、「この店、何なの?」って思ったお客さんがどんどん来始めましてね。それで初めて、鳥の好きなお客さんがこんなにいるんだ、しかも僕みたいなおじさんじゃなくて若い人が多いと、純粋に喜びました。
しかも鳥のお客さんは僕のアドバイスを聞いて、ちゃんとその通りにしてくれる。この人たちと一緒なら、この業界を変えられるんじゃないかなあと思って、ずっとやってきました。
また、今の若い人達、特に専門学校生中心に、動物に対する考えが変わってきて、それがひいては環境保護に繋がっていくんじゃないかなあと思っています。
下薗:そうですか。私も先生と同じように考えています。正しく動物のことを理解して、人間と動物が共生していく働きかけを、今だったらできるような気がするんですよね。私どももこれからの若い人たちに対する教育の場を持っていますし、動物をしっかり勉強しようという『はじめの一歩』の所が学校で、そこで正しい精神的な部分も植え付けていくことができれば、種が広がって、花が咲いてくると思うんです。動物と関わるということは、やっぱり環境問題にもしっかりと取り組んでいくっていうことが絶対に必要だと思うし、気づく人もたぶん多いと思うんですね。