学校と教師のあり方

小林先生

下薗:それでは、小林先生の教育観と学校の今後の展望などについてお聞かせください。

小林:まず私どもの学校はゆとり教育とは無縁というか…生徒のもっとやりたいという意欲を伸ばしてやりたい。私たちの若いころには勉強をしたくてもできない人が大勢いましたからねえ。

下薗:まったくそうですね。

小林:そのための環境を提供してあげるのが、学校の役割だと思っています。私どもの学校では15分間の朝読書の時間というのがあるんですけれども、その時間を使って、漢字検定や英語検定の勉強を2週間程度短期間で集中的にやらせています。そうすると、わずか15分でも集中して勉強すると、わかるようになる喜びを生徒が理解してくれるので…。これを当校ではエポック学習って呼んでいます。

下薗:達成感ですね。

小林:そう、ものごとに集中させるのは、長時間じゃダメですよね。だから15分で読書をさせるっていうところからスタートしたんですが、15分の読書というと、すぐ終わってしまいます(笑)。でもそこで15分、しかも一生懸命読書することで、そこでは気持ちが終わらなくなって、休み時間に続けたりね。行き帰りの電車内での読書につながったりっていうふうに、読書の習慣がついてきて達成感につながるわけです。

下薗:指導の仕方によって、まったく子どもたちの伸び方が違うんでしょうね。また、そのような手法を取り入れるには教職員の理解と賛同がないといけないと思うんですけども、やはりその辺でも小林先生のご尽力でしょう。

小林:まあ、それもありますが、教員のほうもすごい達成感を得たんでしょうね。生徒がどんどん協力的になったから。

下薗:そうですよねえ。やっぱり教え子さんたちが伸びてくれば、そんな楽しいことはないですもの。
それでは、小林先生が学校の先生になって良かったなあ、と感じておられることがあれば教えてください。

下薗惠子

小林:そうですね。やっぱり、生徒の成長した姿ですかしら。わりとよくクラス会を開いてくれる私の教え子が間もなく、もう銀行なんかだと「窓際ですよ」とかっていう年代なんですよ。支店長だった人が他へ出向するとかね。そういう年の子ども(笑)卒業生の言葉をお聞きしていて、やっぱり教職っていうのは、長い時間をかけて一生涯かかって勝負するものだなっていう感じがするんですね。

下薗:そうですか。そうすると、在学している短い時間に生きていく上での基礎力を吸収させられるか、植え込んだ種が大輪の花を将来咲かせられるようにと真剣勝負ですね。

小林:ええ。生徒との勝負ですね。生徒たちに好かれよう、好かれようと思ってる先生はあんまりいい先生にはならない。私なんかはもう厳しいことばっかり言っている。またそういう厳しい先生たちはどうせ悪い評価だろうと思っていたのですが、生徒たちには意外に評価されているんですよ。生徒は本質を見抜く目を持っているんですね。

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