第5回

次世代を担う若者への学校教育
下薗 恵子 × 小林 節(大妻嵐山中学校・高等学校校長)
2008年7月1日

大妻嵐山中学校・高等学校校長の小林先生は独自の「環境教育」への取り組みなどユニークな教育手法で知られています。今回は小林先生にご自身の教師への道から教育手法までさまざまなお話をお伺いしました。

対談者プロフィール
小林 節小林 節(こばやし・せつ)
大妻嵐山中学校・高等学校校長。昭和11年(1936)生まれ。
東京理科大学理学部化学科卒業。
埼玉県立高校教諭を経て、同浦和東高校校長・同蕨高校校長等を歴任。
平成12年12月本校第11代校長に就任、現在に至る。


大妻嵐山中学校・高等学校プロフィール
「学芸を修めて人類のために」を基本理念として、知識や技能を修得する教育に専念。社会貢献を意識すること、専門的な知識と技能を身につけ、しかも豊かな人間性を備えた女性を育てることをモットーに社会へと巣立っていった卒業生はすでに9千人ちかい。

憧れの人はキューリー夫人

小林 節

下薗:本日はありがとうございます。今は私どもが若かったころと教育環境も大きく変わっていると思いますが、その辺の小林先生の心配りであったり、教育の方法、教えであったり、そういったことを私もご指導いただきたいなと思いつつ…インタビューを進めていきたいと思います。
それではまず、先生が教師を目指された理由をお聞かせくださいますか?

小林:子どものころから教師になりたかったわけではなく(笑)キューリー夫人が憧れの人だったものですから、研究者を目指して、理科系の大学に進学しました。その大学で「教職をとったほうがいいよ」といわれまして、あまり深い考えもなしに教職をとりましたが…そのうち自分が研究者にならなくても、研究者を育てられればいいかなあって考えるようになりまして…

下薗:えっ!そうなんですか?

小林:でも、なんとなく教師を目指した…というのともちょっと違いまして、母が早くに夫を亡くして…。女手ひとつで3人の子どもを一生懸命育てていまして、その母から「もうこれからの女の人は自活できないとダメよ」っていわれて続けていたんでね。それはもう本当に心に染み付いていました。

下薗:小林先生のお母様は時代のさきがけですね。私たちの時代は女性が仕事の場に積極的にでるというようなこと自体、かなりめずらしかったですから。

小林:ええ。でも私は絶対に世の中は変わるんだっていう思いが強くてね。生徒たちにも、結婚も子育ても大事だけど、これからは手に職をつける時代だよとつねづね話してきました。

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