ペット業界の担う、次世代への役割とは

瓜生:社会の動物に関わるニーズが多様化してきましたね。例えば、トリミング学校を出た人間が全てトリミングの技術を使える職場へ就職するとは限りません。癒すことに関心のある人は、盲導犬や聴導犬を取り扱う仕事や、それとつながる老人ホーム、介護までを含めた広い意味でのペットを通じた就職先が見つかるかもしれません。とにかく犬と遊ぶのが大好きな人であれば、それを生かした職種が生まれるかもしれません。最近は建築業界、自動車産業などをはじめとして、思わぬ職種において犬や動物の知識を必要としています。実際にそのような業界で活躍している人がたくさんいる。未知な活躍の場を学校側も開拓すると良いですね。

下薗:おっしゃる通り、複合的な見方をすれば、幅広い価値観の中で活躍ができる時代にはなってきていますね。

瓜生:まさにそうなってきているのです。特に犬の役割というものは、ここ10年だけ見ても非常に広がっていますよ。一昔前は単に盲導犬や聴導犬としての考え方だったのが、今では高齢者の癒しや体の不自由な人の介護のバックアップ的役割としても重要であることを、誰もが知っています。犬の役割と人間とのかかわりが大きく変わってきている分、若い人達が活躍する場がそこにあるといえるでしょう。一方、我々人間を癒してくれる犬たちをケアする仕事も考えられます。例えば、御校にも共感をいただいている当社の綱吉の湯(お台場 大江戸温泉物語別館)ですが、犬たちの癒しのスペースとして、マスコミ各社からも多く取り上げられています。今後、犬たちのケア、リハビリ、リラクゼーションなどに携わる人間も必要になると思います。

下薗:ええ、ほんとうに。少子高齢化の中で、ペット業界も次世代を担う世代の役割が重要であるわけですが、最後に、これからペット業界へ携わる若い方々へメッセージをいただけますでしょうか。

瓜生:どんな道を進むにせよ、辿りつくまでは修行ですから、決して良いことばかりではありません。その悪い時を耐えられなければ、次の本当に大きな喜びを受け止めることはできません。簡単なことに聞こえますが、実は今、日本で一番問われていることだと思えるのです。そうした自分だけの力を着実につけていく。社会に出たら人間最後は一人ですから。もちろん仲間との連帯や友情も必要ですが、最後のデッドラインは一人で切り抜けられる強さがなければ、組織の中においても力は発揮できないでしょう。地道な積み重ねを嫌がらず、柔軟な考えで世の中を見ながら、自分を信じてがんばってほしいと思います。

最後に

最後に

言葉ひとつひとつに、ペットへの愛情と情熱が感じられる瓜生社長。新しい試みを常に模索しながらも原点を忘れないその姿勢から、お会いするたびに「大切なものは何か」ということに気づかされます。
今日はペット業界へ携わる若い方々へもすばらしいお言葉を頂き、大変感謝しております。

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