動物介在教育 継続の秘訣

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下薗:動物介在教育をここまで継続している秘訣はなんでしょうか。

吉田:やはりそれぞれの専門家の方が熱心に協力してくださっていることが大きいですね。獣医さんもトレーナーさんも、月に一度ペースでボランティアトリマーの方々もいらしてくださるのでありがたく、協力してくださる各専門家の方がいらっしゃることがずっと継続できている要因ですね。

下薗:協力してくださる専門家の方々も、お子さまたちの教育の現場に犬がいることのすばらしさに共感なさっているからご協力くださるのでしょうね。

吉田:当校では非常にありがたいことに教職員と保護者の方の理解が大きいです、よいことのためなら手伝うわ、と言ってくださるので感謝しています。

下薗:その根本にあるのがキリスト教でしょうか。

吉田:そうだとおもいます。僕がただの犬好きで、僕ひとりのためだとしたら誰の協力もいただけないでしょうが、だけど、誰かのために、子どもたちのために、というのが大前提にあるので協力してくださるのですよね。

下薗:御校の受験者の方で動物介在教育に興味を示す方もいらっしゃいますか。

吉田:本校の動物介在教育を取り上げたテレビ番組を観て、本校の存在を知った方や、動物介在教育に感銘を覚えてくださり、どうしてもお孫さんの入学を希望された方もいます。
 もちろん、犬以外にも良い教育をしている面もご紹介するようにしていますし、学校の特色のコンテンツの一つとして捉えています。

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下薗:6年生がバディウォーカーをされる前段階、5年生までに犬のことを学ぶ機会はあるのですか。

吉田:色々な学校行事の場面に犬たちにも参加してもらい、犬たちが自然に同じ空間にいる環境づくりはしています。

下薗:なるほどですね、子どもたちにとっては自分たちの生活のなかにごく自然に犬たちがいるのならば、溶け合うのも自然でしょうね。

吉田:私の聖書(道徳)の授業では、一緒にお教室のなかに犬を連れて入ります。授業中は私の近くで静かに聞いていたり、子どもたちに体を撫でてもらったりして過ごします。こういう関わりを1年生のころからしています。ですから、「憧れのバディウォーカーのお姉さんたちのように私も6年生になったら校内を犬たちと散歩するぞ!」という気持ちになるようです。

下薗:お姉さんたちが大型犬のリードを持って散歩していたら、かっこいい~!と憧れるでしょうね。 当学園では近隣の小学校からの依頼で、ときどき「命を学ぶ授業」をしています。 聴診器をつかって心臓の音を聴いたり、小型犬ならば子どもでも抱っこすることができるので抱っこをして体温を感じたり、正しい抱き方を学んでいただくなど。御校でもそのような経験をする機会もあるのですか。

吉田:1年生の聖書の授業では、クラス全員に犬の体をやさしくふれる機会を設けています。 この機会は一度だけではなく、毎週の聖書の授業で犬と共に同じ時間を過ごしていくうちに、私が言葉をもって教えなくても自分たちの感性が磨かれて、動物や命に対するセンスがよくなったと感じますし、言葉遣いも丁寧になり、心やさしい子が増えました。  

下薗:本やテレビで見るのではなく、実際に自分の目で見て、自分の手でさわって体感することが大切ですし、相手は犬ですから、言葉を用いずに心で感じて、接することで子どもたちの心が成長するのでしょうね。  もし、他校さんが動物介在教育をやりたいと考える場合、何が一番必要なことだと考えますか。

吉田:何が必要でしょうね。計算して、損得とか、楽とか楽じゃないとか、あまりにも真面目に考えていれば、嫌になっちゃう活動かなと。ヨーロッパみたいに、自分で飼育している犬を職場に連れていって、犬と一緒に職場で仕事をするという、猟だってそうじゃないですか。そんな感覚で、犬とは少し距離を置きながらだけれども、一緒に働いているという、そんな風に発想転換できると、別に大変なことはないものですよ。

IAC