女性が働くこと

1

下薗:私の尊敬する、そして憧れる柴内先生がここまでいらっしゃるなかでの道のりはどのようなものでしたか?

柴内:娘が一人おりますので、育児と仕事の両立は課題でした。自分の子どもに何かがあって仕事をしていたら、自分も後悔するし、社会的にも大きな問題にもなってしまい、あとを追う女性の方々にも大変問題になってしまうことなので、娘を無事に育てること、仕事をすること両方を無事に行うことができて初めて、仕事がうまくいったということだと思っていました。

下薗:私も二人の子どもを育ててまいりましたので、そのお考えにとても共感いたします。

柴内:幸い、両親の実家の近くに住んでいたので、教育についても相談しながら娘をしっかりと任せることができました。当時の病院は今ほどスタッフがたくさんいなかったので、私が夜中に往診や急患を診ることもありました。そのときは娘を毛布にくるんで実家に行き、母に預けて出勤していました。それがどんな夜中であっても、仕事が終わると引き取りに実家へ戻り、預けっぱなしにはしないという方針を掲げていました。

下薗:今は女性を輝かせよう、働かせようという社会の風潮がありますが、どうも「預けなさい」ということだけが強く出てしまっているかのように感じますね。先生がおっしゃるように、母親は、やはり母としての、父親は父親としての務めや役割というものもしっかりと担っていった上での仕事であるかのように感じます。

1

柴内:仕事に追われてしまうとどうしても子供のことが二の次になりやすいのですが、やはり子どもには親に育てられるという大切な役割がありますからね。そこだけは揺るぎのないものにしなければなりません。そのためには、親が相当健康でなければいけないということもよくわかりました。

下薗:子どもを産んで育てているからこそ、動物に対しての想いも違った感性がでてくるのでしょうか。

柴内:はい、そうだと思います。どなたもそうだと思うのですが、子どもをもって初めて、親のありがたみがわかるんですよね。それと同時に、子どもをもつと、動物やよそ様の子どもに対する愛情表現が変わっていきますよ。スタッフの皆さんにも子どもを産める環境を用意してあげたらよいかと思います。女性ならではの特権ではないでしょうか。

IAC