学校法人シモゾノ学園の理事長兼校長。動物が生きる喜びをかみしめることができる社会、人と動物が本当の意味で共存共栄できる社会を目指す愛犬家。
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競争化社会における自己表現の必要性
下薗:もう一つお伺いしたいのは、今大学で教鞭をとられていらっしゃるようですね。今までは犬のお話だったのですが、次はこれからを背負う若者たちの話を少しさせていただいて、お勉強させていただきたいなって思うのですが。
今の学生たちは、ちょうどゆとり教育の世代になりますね。
小倉:彼らは素直だし、攻撃的じゃないですね。非常に穏やかな子たちが多いのですが、逆に言うと好奇心が足らなかったり、行動力が今ひとつなかったり。僕は1年生と3年生と4年生のゼミを持っていて、3年から就職活動の準備が始まります。今は競争が激しいので、どうしたいのか、どんなところへ行きたいのかっていう、強い思いがないと。
それこそ就活に行って、ボロボロになってみんな帰って来るんですよ。今はネットが発達しているんで、返事もメールだったりするんですよね。不採用通知には、「今回はご縁がなかったということで」「あなた様のご活躍をお祈りしております」と大体書いてあります。すると学生たちは、「どうだった?」「祈られた」っていう会話。
下薗:ああ、なるほど、それは一つ、初めて聞きましたね。
小倉:多い子だと50社ぐらい受けて、それこそ毎回祈られちゃうわけですよ。最初は心が折れるでしょうけれど、人間よくできたもので、だんだん後半になるにつれ強くなってこられて。就活が一つの経験になったり、ある意味教育になったりしているのが、不思議っちゃ不思議ですけどね。
下薗:まあ、今まで競争があまりなく育ってきたし。
小倉:そういう意味ではほんとに大変だし。僕も就職の採用を日本テレビで8年くらい担当していました。アナウンサーのです。受けに来る人が大勢いて、採用人数が少ない状況だと、お断りする人のほうが多いじゃないですか。その断り方もやっぱり考えないと、と思いはしますよね。
下薗:そうですか。アナウンサーを目指すような方々ですから、それこそ発言もお話の中身もしっかりとなさっている方々が多いのでしょうね。
小倉:多いとは思うのですが、それでも、よりしっかりした人はいますし(笑)。例えばテレビ局ですと、キー局は大体3万人に1人ぐらいしか入れない状況なので。最後は採用する側の好みだったりしますからね。
下薗:チャンスっていうかね、縁もありますよね。
小倉:うん。僕、大学で教鞭とって5年めなんですけれども、そんな子たちを3年送り出して、それぞれ一生懸命働いている子たちが時々メールをくれて。ディレクターになった子が「自分がやった番組がこれですから見てください」なんて連絡をくれたり、アナウンサーになった子が、「ニュースが少し上手になったって褒められた」とか言ってくると、うれしいですね。
下薗:ああ、そうなんですか。でもアナウンサーのお仕事ってすごいなと思います。やっぱり与えられた原稿だけではないですものね。自分の言葉で表して。
小倉:そうですね。会社に入って最初は、研修でちゃんと読んで伝えられる練習を嫌というほどさせられますけど。そそこから先は、自分の個性と考えをどうやって乗せられるかが重要ですね。
下薗:その通りだと思います。どの世界も同じですね。今日は本当に楽しいお話、有難うございました。小倉様のますますのご活躍を楽しみにしております。 有難うございました。
加えて大学教授でもあられる小倉氏に就職活動の現状をお聞きし、私もいち学校教育者として学生をどのように社会へ送り出すべきか改めて考えさせられるなど、大変有意義な対談となりましたことを感謝いたします。