長期化する問題と、これからの展望

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下薗:これから訪問する第2シェルターはとてもいい施設ですね。動物は一時飼い主さんと離れるという状況なので不安ではあるでしょうけれども、その中でも最善のゆとりあるスペースが提供できるのは動物にとっても好影響ですし、そういった場所が存在する意義はとても大きいと思います。設置費も今後の維持費もかかるでしょうが、この時期に建てられたというのは、いいきっかけになると思います。

平野井:十数年前、まだ総理府があった頃、総理府の派遣研修でヨーロッパ五カ国を歩かせてもらいました。そこで民間のシェルターを見た時には、かなりの温度差を感じたことを覚えています。
1 元々この第1シェルターは緊急応急的なものです。第2シェルターは、原発災害という特殊事情から、長期化することを念頭におきながら、緊急災害時動物救援本部の御指導や動物の取扱いに精通されている企業の御協力により、十数年前に海外で見た動物の生活の質の向上が図れる施設ができました。本当は全部第2に移してから第1を閉鎖し、第2から第2ステージである返還や譲渡を進める流れが一番よかったのですが…。予想を遙かに超える動物の保護が続いていますから、まだ第1を閉めることはできませんね。
今年3月の一斉保護以降も担当保健所では、定期的に警戒区域に入って保護を続けているんですよ。見つけたら保護器を使うなどして保護を試みておりますが、なかなか保護できない状況にあります。そうした動物が、区域の見直しが進むにつれて、帰還する方々からの苦情の原因になってしまうんです。

下薗:そうですか。まだまだやらなくてはいけないことが沢山出てきますね。
動物保護は率先して動物に携わる人間がしっかりと感心を持って支援できればと思います。

平野井:今回我々だけの力では何もできませんでしたが、皆さま方のご支援で多くの資金、多くの人が動きました。本当にありがたいと思っています。

下薗:皆で支え合い、協力し合うのは当然ですよ。ご自身だって被災されているし、平野井さんも心労がおありでしょうし、大変だったかと思います。
私どもは将来を担う学生に教育をできるという素晴らしい立場にありますので、こういったところで活躍できる力を持って欲しいと思っています。
またご教授いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

最後に

最後に
まだまだ震災の傷跡の癒えない福島で、人の救援だけではなく、動物の救援を続けることの難しさを考えさせられました。厳しい問題が山積みの中、多くの皆さまの力をいただき、よりよい環境を作ろうと尽力される平野井さんに、われわれ動物関係者も精一杯協力してゆければと思います。
IAC