ボランティア活動で身に付く力

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下薗:山口先生に動物業界のネットワークについてお伺いしたいのですが、東日本大震災東京都動物救援本部が設立されて各団体が連携を取り合える環境ができたと思いますが、いかがですか?

山口:皆さんそれぞれのカラーはありますが、少しずつ団結、連携する方向性が出てきていると思います。まだ完全に足並み揃えてとはいかないですが。信頼できる人のネットワークは大きな力になると思います。

下薗:そうでしょうね。最初に団体をご紹介いただいた時に、温かい集まりにになってきたと感じました。それに我々も、さっきも申しましたが、被災地でなく東京での活動があることで、ご協力できるのが光栄なことです。

山口:シモゾノ学園の学生さんたちが本当によく動いてくださって、こんなにボランティア精神豊かになるような教育がなされているのかと感心しました。学校がバックアップされていると、学生さんたちも心おきなく活動ができるんですね。

下薗:ありがとうございます。今大学では現地ボランティアの活動に向かうと単位になるところもあると言われていますでしょう。座学は勿論大事ですが、課外活動で実際に何かを経験することは、何よりも勉強になるという思いから参加させていただくことを大歓迎でいます。

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山口:学生さんたちは、基本的に学校で扱うのがほとんど犬で、猫を扱うことは犬と比べるとあまりないですよね。ここでは猫舎にも入って遊んでいただいています。すると皆さん興味を持たれて、猫ってこんな魅力があったんですね、と随分と猫に対して親しみを持ってくださったみたいです。

下薗:はい。特にドッグトレーナーを目指す学科は犬オンリーの教科を学んでいます。しかし、こちらで猫と触れ合うことで猫の魅力に気づけたり多様な感性が現れたことをとても嬉しく思っています。これは日誌ですか?

平井:そうです。今は色んな所からボランティアさんが来てくださってますが、一番日誌を書いてくださるのがシモゾノ学園の学生さんですね。皆さん結構絵が上手くて、犬舎に似顔絵を貼っているんです。先日亡くなった子の絵も描いてくれていたんですよ。それを飼い主さんに亡くなった後差し上げまして。本当に喜ばれました。

下薗:ああ、よかった。じゃあもっと学生達を褒めなきゃいけないかな。

山口:そうですね。猫の習性を考えて、遊び場を作ってもらったりもしました。犬猫用に設計された訳ではないプレハブ施設ですので、犬猫が快適に過ごせるために、足りないものをどうやって工夫して作っていくかは、今必要な技術かと思ったりもしました。

下薗:ゼロから何かを創ることは学びになりますね。貴重な体験です。

IAC